玄海原発の上空を舞う3つの光をカメラがとらえていた。光を放っていた物体はドローンとみられ、その正体は明らかになっていない。九州電力は「安全性に問題はない」としているが、対策を求める声も上がっている。
「2時間程度は周辺を飛行していた」
7月26日に玄海原発で目撃されたドローンとみられる3つの光は、正門にいた警備員4人が午後9時ごろに発見。通報を受けて駆けつけた警察官も確認している。九州電力によると、この後、光る物体は「少なくとも2時間程度は周辺を飛行していた」という。

防犯カメラに映像は写っておらず、現在も光る物体は発見されていない。九州電力は当時、原子力施設の運転に影響を及ぼすおそれがある場合に発表する「核物質防護情報」を出したが、設備に異常はなく安全性に問題はないとしている。
「核物質防護に万全を期す」
この事案を受けて、九州電力の西山社長は7月31日の会見で次のように述べた。
九州電力 西山勝社長:
発電所の安全確保はもとより、皆様に安心していただけるよう引き続き関係機関と緊密な連携のもと、核物質防護に万全を期すよう務めてまいります

また西山社長は、具体的な警備体制については話せないとした上で、警察や自衛隊など関係機関とも議論を重ね警備体制を強化する方針を示した。
「監視カメラなど設置すべき」
一方、佐賀県原子力環境安全連絡協議会が7月30日、玄海町で開かれた。この協議会は、玄海原発についての情報共有のため県や周辺自治体などが参加し年に2回開かれている。

協議会で九州電力は、7月26日に玄海原発の上空でドローンとみられる3つの光る物体が確認されたことについても説明。「発電所設備への影響はないものの核物質防護事案として重く受け止めている」とし、現在も関係機関と連携し対応していると述べた。

また参加者からは「電波を制御する装置や監視カメラなどを設置すべき」といった意見があり、九州電力は「ドローンの侵入を防ぐため事業者として何ができるかしっかり検討し、できることから進めていく」と答えた。
「日本全体の原発への信頼に関わる」
また原発立地県である佐賀県の山口知事は、今回の事案について、全国の原発への信頼性に関わる問題との見解を示した。
佐賀県 山口知事:
玄海原発だけの問題ではなく、日本全体の原発に対する信頼にも関わるし、大きな関心事だと思う。そういう視点で我々としても注視をしっかりさせていただきたい

一方、この事案について、原子力規制委員会の山中伸介委員長は次のように述べた(7月30日の定例会見)。
原子力規制委員会 山中伸介委員長:
ドローンであったのかどうかも明確でないし、物体がひとつだったのかどうかも現時点では明確でない。ただ安全上、土曜日の時点で何か問題があったわけでなく特段懸念があるわけでもない

その上で、九州電力と原子力規制委員会の情報共有のあり方について問題があったことや公表が遅れるといった今回の対応について、今後検討していく必要があるとし、対テロ訓練と並行し情報共有の訓練もすべきとの考えを示した。
(サガテレビ)