人を襲ったヒグマ駆除→北海道庁や福島町役場に苦情殺到…浅尾環境相が自粛求める「節度のある行動を」

 北海道南部の福島町で、人を襲ったヒグマを駆除したことに、道庁や福島町役場に苦情が殺到した問題で、浅尾環境相が8月5日、閣議後の会見で、過度な苦情に自粛を求めました。

 福島町では7月12日、新聞配達員の男性がヒグマに襲われ死亡。18日未明に駆除されました。DNA鑑定の結果、この個体は2021年に町内で女性を襲い、死亡させたこともわかっています。

 駆除を受けて、道庁や福島町役場には、「クマを殺すな」などと200件を超える苦情が寄せられ、対応に苦慮。鈴木知事は「2時間も何時間も連絡いただき、これは仕事にならない。命の危険を持ちながらもハンターに捕獲していただいている。どうか理解していただきたい」と訴えていました。

 浅尾環境相は「自治体職員やハンターの活動を萎縮させ、新たな事故につながりかねない」と指摘。「人身被害を防止するために必要な対策についてご理解をいただき、節度のある行動を」を呼びかけました。

「尽力されているハンターや自治体職員は命がけで活動」

 浅尾環境相の発言は次の通り。

 「対策は人とクマとの棲み分けを図ることが基本です。しかし、人の日常生活圏に繰り返し出没するクマや人に危害を加えたクマを放置することは、被害の拡大や再発を招く可能性があります。そのため、時にはクマを捕殺しなければならないことに、国民の皆様にご理解いただきたいと思います。

 私自身も環境相として秋田県の現場を視察し、クマへの対応中にけがをされた方にお見舞いを申し上げました。去年は4人がクマへの対応中にけがをされたと聞いています。

 尽力されているハンターや自治体職員は、命がけで活動していただいており、心から敬意を表します。北海道福島町でクマによる死亡事故が発生し、当該クマを駆除したケースでは、北海道庁と福島町役場に合わせて200件以上の苦情が寄せられたとうかがっています。

 過度な苦情は限られた職員数で対応する自治体の活動を制限し、自治体職員やハンターの活動を萎縮させ、新たな事故につながりかねないものです。クマによって不安な生活を送る住民の状況や、人身被害を防止するために必要な対策についてご理解をいただき、節度のある行動をお願いしたいと思います」

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