東京、大手町に位置するJAビルが緊急売却されることが決定的となった。全国農業共同組合中央会(JA全中)が所有するこの高層ビルは、システム開発の失敗による巨額の損失を補填するための措置であり、損失額は180億円から220億円に達すると見込まれている。売却の最終決定は8月中にも下される予定だ。
このビルは2009年に完成し、地下3階、地上37階を有する大規模オフィスビルとして機能してきた。しかし、JA全中はその6フロアを区分所有しており、農家の利益に直結しない不動産保有の是非が問われている。小泉新次郎JA全中会長との面会が20日に予定されており、農家の立場からの詳細な説明を求める姿勢が強調されている。
農家からは「安価な農業資材の確保が必要であり、都心の不動産は利益に繋がらない」との声が上がっている。JAの役割が問われる中、農業支援と都市不動産保有の矛盾が浮き彫りになっている。農業生産の資金が東京の一等地のビルに注がれる一方で、現場の農家は厳しい状況に置かれている。
JA全中の動きは、農業改革の新たな転換点となる可能性が高く、売却後の資金活用方法や農家への還元策に注目が集まっている。農業界の未来に大きな影響を与えるこの一連の動きから目が離せない。