中学時代の天才投手、横塚博亮が語る「大谷翔平と藤浪晋太郎に抱えた劣等感」!数々の衝撃エピソードと過去への想いとは?

大谷翔平世代の中学日本代表エース・横塚博亮さんは桐蔭学園に進学した photograph by Asahi Shimbun

default image

2012年の選抜高校野球大会(春の甲子園)初日、第3試合のカードは大阪桐蔭と花巻東だった。高校球界の2大スターだった藤浪晋太郎と大谷翔平の対決がいきなり実現することになったのだ。

「中学時代は勝っていた」藤浪と大谷が…

横塚博亮にその試合のことを尋ねると「めっちゃ記憶にあります」とやや興奮気味に振り返った。横塚はテンションが上がると「めっちゃ」を連発する癖があった。

「3月20日ぐらいですよね。確か」

ほぼ正解だった。実際は3月21日である。

「寮に新入生が入ってくるので、部屋替えしたタイミングだったと思うんですよ。桐蔭の近くに『湯けむりの里』っていうスーパー銭湯があって、そこにいた記憶がめっちゃあるんです。そこの露天風呂にテレビがあって、そこで観てた記憶がめっちゃあって。雨が降る中。それで大谷が1打席目にホームランを打って。そのときにめっちゃ劣等感を感じましたね。自分が知っているメンバーが甲子園で戦っていて、片や自分は風呂に浸かっていて。自分がいられないところにあいつらがいるというのはすごく嫌でした」

2回裏、先頭打者として打席に立った「四番・ピッチャー」の大谷は藤浪が投じた5球目、ややインコースに低めに入ってくるスライダーをとらえ、右中間スタンドに運んだ。

横塚が感嘆する。

「片手1本で持っていった感じですよね。あれだけはめっちゃいまだに記憶にあります。当時の映像を観なくても、あの映像はぜんぜん出てきますね」

中学時代、自分より下だと思っていた選手たちをそのときの横塚は仰ぎ見ていた。

3年夏、最後の試合…まさかの“事件”

最後の夏、横塚は高校に入ってから初めて背番号1をつけた。ただ、役割はリリーフだった。3人の投手で決勝まで勝ち進んだが、決勝で2年生エースの松井裕樹を擁する桐光学園に4−11で大敗した。

横塚はその試合、5回途中から3人目の投手としてマウンドに上がった。そこまでは1、2点差で競っていたが、8回裏、1アウト一、二塁のピンチで、1ボールになったところで交代を告げられた。

そのあと、大会中、ほとんど登板していなかった2人の投手が後を継いだが大きく乱れ、試合の大勢が決した。横塚は不慣れな下級生に大事な試合を任せたことが許せなかった。

「みんなまさか(自分が)代えられるとは思ってなかったと思うんです。申し訳ないですけど、悔しいとも思わなかった。怒りしかなかったですね」

Related Posts