橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(35歳)。かつて“天才”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライターとして活動中です。
渡鬼シリーズ終了後の歩み、そして現在にいたるまで–当時は語れなかったことも含めて、宇野さんが“今だからこそ”綴るエッセイ連載。今回は、TOEIC930点の英語力を活かし、通訳や翻訳も手掛ける宇野さんが、その語学力をどのように培ってきたのか振り返ります。(以下、宇野さんの寄稿)。
◆高校に通いながら高認に合格
「どうしてそんなに英語が喋れるの?」
「どうやってセリフを覚えているの」と同じぐらい聞かれたことがあるのが、この質問です。
ご機嫌よう、宇野なおみです。前回と前々回の記事を読んでくださった皆様、ありがとうございました。
私は高校に通いながら高等学校卒業程度認定試験取得→早稲田大学入学~卒業という、同じルートをたどったことがある人に一度もお目にかかったことがない、謎の経歴です。
やはり芸能人=学校に行っていない、というイメージがあるのでしょうか。通訳や翻訳もしていますと話すと、英語をどうやって学んだか、よく聞かれます。
◆イギリス映画から英語への憧れを膨らませた
小さい頃に英語教室に通っていて、オペラに出演したときにイタリア人演出家に「ワットアニマルドゥーユーライク?」と聞いたというエピソードは母から聞かされたことがあります。これは英語ができるというか、天衣無縫な性格がさく裂しただけですね……。今回、5~6歳当時使っていたノートを発見いたしまして。
英語のノートなのに、途中から数式書いているありさま。どういうつもりだったのやら、子育てにおける母の苦労がしのばれます。
実は、海外に行ったことはほぼないんです。渡鬼の最終シリーズが終わった大学卒業後に、卒業旅行と半年間カナダ・バンクーバーに留学したのが、初海外。だからバイリンガルではありません。
当時、渡鬼は4クール(1年間)。収録がトータル1年半はあり、合間にも舞台出演などがあったので、留学は難しかったんです。なので、基本的には国内で勉強してきました。
英語に夢中になったきっかけは、イギリス映画。無論ハリー・ポッターシリーズもどっぷりハマりましたが、もっとも影響を受けたのは『ノッティングヒルの恋人』という映画。主人公はジュリア・ロバーツ演じるハリウッドの世界的大スター・アナ。そしてヒュー・グラント演じる、英国ノッティングヒルで本屋を経営するパッとしない店主・ウィリアムの、ロマンティック・コメディ映画です。
誠実で不器用なヒュー・グラントがとても素敵でした。エルヴィス・コステロが歌う主題歌「She」も印象的で、ノッティングヒルは今でも憧れの場所です。
さらに、同じリチャード・カーティス作品である 「ラブ・アクチュアリー」にのめりこみ、クリスマスの映画だというのに1年じゅうDVDで見ておりました。
◆英語力が伸びたのは高校から
高校の時にふと思い立ち、英語のスピーチコンテストに出場しました。私が通っていた単位制の「チャレンジスクール」は、開校したての実験的な高校。勉強のレベル自体は正直高くなかったです。ただし都立でしたので、進学校で教えた経験がある先生方が多かったんですよ。
学校を休むことが多く、自学自習でやってきた(※やるしかなかった)私はそこに目をつけました。
英語の先生留学経験者で、発音もネイティブ並。スピーチコンテストの指導経験もお持ちでした。指導をお願いしたところ、発音を徹底的に叩き込んでくださいました。厳しかった……!
ひそかに持っていた英語への自信は、ここで粉々に砕かれます(笑)。
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