ジュリーが「ラストインタビュー」で語ったこと
・ラウールさんを「二十歳のお面をかぶったオジサン」と評した人物がいます。
《逆に『あなたは本当に二十歳なんですか?』『二十歳のお面をかぶったオジサンなんじゃないですか?』と尋ねたくなるような子(所属タレント)もいますよ。本当によくわかっている子もいます》
《ホントに最高ですよ、あの子は。私がさっき『二十歳のお面をかぶったオジサン』と言ったのは、まさにラウールのことなんです》
これは故・ジャニー喜多川氏の姪で旧ジャニーズ事務所代表の氏の言葉。7月18日に発売された「ラストインタビュー─との47時間─」(新潮社刊/早見和真著)から一部抜粋した文章です。
ラウールさんを「オジサン」に例えたことは賛否両論あるでしょうが、要するにジュリー氏が言いたかったのは、“若いのに聡明で精神的にとても円熟している”といったことであり、文脈から最大級の賛辞なのだとわかります。
そこで今回は、ジュリー氏がそこまで絶賛するラウールさんのキャリアや内面を紐解いていきます。
パリコレでモデルデビューするまでの泥臭い努力
東京都出身の2003年6月27日生まれ、現在22歳のラウールさん。
2015年にジャニーズ事務所(当時)に入所し、2020年に9人組グループ・としてCDデビュー。今年はちょうど入所10年、デビュー5年という節目の年になっています。
と言えば“ネクスト・国民的アイドルグループ”と呼べる存在。
昨年2月発売のシングル「LOVE TRIGGER/We’ll go
together」は初週売上だけで119.3万枚(オリコン調べ、以下同)、昨年7月発売のシングル「BREAKOUT/君は僕のもの」は初週売上106.7万枚と、2作連続で初週ミリオン突破という快挙を達成。今年7月発売の最新シングル「SERIOUS」は初週売上88.3万枚で惜しくも3作連続は逃したものの、すさまじい人気であることは間違いありません。
そんなのなかでラウールさんは、デビュー曲「D.D.」をはじめ数多くの楽曲でセンターポジションを担っており、アーティスト・の“顔”的存在なのです。
一方ラウールさんはモデル業や俳優業といった個人活動も精力的。
モデル業ではフランスの事務所とも契約しており、2023年からパリコレクションにランウェイモデルとして何度も出演しています。
一応念のためお伝えしておくと、日本の大手事務所所属のタレントと言えど、パリコレはコネでねじ込めるような舞台ではなく、ラウールさん本人が自力でランウェイモデルの座を掴み取ったのは有名な話。
パリでモデルデビューするため、ラウールさんは単身現地に乗り込み長期滞在していたそうですが、履歴書を持って自身を売り込む日々で、何十ものオーディションを受けたものの落ちまくっていたのだとか。彼自身、人生で初めての挫折だったと明かしており、大変悔しい想いをしたということを語っていました。
そうした挫折を乗り越えて獲得した「パリコレモデル」という肩書きというわけです。
ドラマで見せる生々しいほどリアルな“ホスト感”
俳優としては現在放送中の連続ドラマ『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)に出演中。
主人公の高校教師・小川愛実を木村文乃さんが演じ、その恋愛の相手役となるホスト・カヲルをラウールさんが演じています。愛実とカヲルの物語のため、実質ダブル主演のようなポジションです。
この『愛の、がっこう。』において、ラウールさんの“ホスト感”は生々しいほどにリアリティがあり、素晴らしい。
筆者は以前、現役ホストもモデルを務めていた『メンズナックル』というファッション誌にライターとして長年携わっていたため、何十人もの売れっ子ホストと面識がありました。そんな筆者視点で、カヲルのホストとしての所作は非常に再現度が高いと感じています。ラウールさんはこの作品に出演する以前はホスト業界のことはろくに知らなかったようなので、カヲルの役作りのために、短期間でホストとして熟練度が高く見えるような振る舞いを習得したということでしょう。
『愛の、がっこう。』は、愛を知らないカヲルが愛実と出会って愛がなんたるかを知っていくというストーリーで、純愛ものとしてとても良質な作品となっています。それもこれもラウールさんのホスト感がリアルだからこそ、そんなキャラが純愛に没入していくというギャップが際立っているのでしょう。
ストイックへの無自覚と高校時代のエピソード
大きな挫折を経験したパリコレモデルデビューまでの経緯や、未知なるホストという職業を完全再現して見せる姿などから、ラウールさんに「ストイック」という印象を持つ方も多いでしょう。
自身への「ストイック」という評価について、ラウールさんは映画『赤羽骨子のボディガード』(2024年公開)に主演した際に受けた、昨年8月の「FASHION
PRESS」のインタビューにて次のように語っています。
《自分がストイックとは全く思わないのですが、目指したところがストイックな要素がないと届かない場所なので、必然的に自分に厳しくやらざるを得ないんです。ゴールを決めるのだけは大口を叩くので、いつも後から苦しんでいます。》
良い意味でストイックだという自覚がないからこそ、ストイックに物事を突き詰められているのかもしれません。
そのスタイルは、高校時代にはすでに確立されていたと思わせる発言もありました。
昨年7月、「映画.com」で高校が舞台となる『赤羽骨子のボディガード』についてのインタビューを受けた際に、次のように語っていたのです。
《今回(『赤羽骨子のボディガード』の撮影)がすごく楽しくて、自分自身の高校時代ももっと楽しんでおけばよかった!と後悔したりして(笑)。僕の高校時代は、トータル10秒くらいしか、人としゃべっていないと思います。それくらい“陰なる道”を極めていました。》
ラウールさんは中学3年時の1月にに加入し、高校1年時の1月にがCDデビューしていますので、彼の高校時代はアイドルとして多忙を極めていたはず。
普通のティーンエイジャーのようにハイスクールライフを満喫することはせず、エンターテインメントのプロフェッショナルとして“全集中”していたからこそ、高校での会話時間が「トータル10秒」だったのではないでしょうか。
時間管理術などビジネスパーソンでも学びがある
昨年8月発売の「日経エンタテインメント!」のインタビューでは、グループの冠番組『それにやらせて下さい』(TBS系)内のダンス企画に、とことん真剣に取り組んだ理由を次のように言語化。
《偽善的に聞こえるかもしれないですが、せっかく心血を注いでやるなら、少しでもその世界に貢献したい。エンタメ業界は、コロナ禍でかなりダメージを負ったジャンルもあるので、僕なんかで役に立つのなら、状況を好転させる一助にならないかなと。》
行動原理がすでに個人レベルではなく、自分が身を置いている業界レベルの視点になっていることに感服。突き詰めていくと、“エンタメ業界のために尽力したい”というのがラウールさんの欲求なのかもしれませんが、自分の利益だけを追い求める我欲ではないのは間違いないでしょう。
「日経エンタテインメント!」のインタビューでは、まるで優秀な経営者かの如く、独自構築した時間管理術について語る場面も。
《時間は作るものだと思っています。スケジュールをストイックにする必要はなくて、「今はこれをやる!」と決めたその瞬間にストイックにいられたらそれでいいので、練習でも打ち合わせでも、闇雲に長い時間を取ることはしない。》
ともすれば「時間は作るもの」というのは“言うは易く行うは難し”の理想論に聞こえるかもしれません。
しかし彼は、の活動としてはライブで磨き上げたダンスを披露したり、冠番組でバラエティノリに適応したり、ほかにも個人の活動としてはパリコレにも出演するモデル業、映画や連ドラに出演する俳優業もあり、マルチにどれもハイクオリティでアウトプットしています。
つまり、ラウールさんのキャリアを見れば、365日・24時間しかない限られたなかで「時間は作るもの」という時間管理術をリアルに実践していないと、成し遂げられないだろうことは想像に難くありません。
22歳の彼の生き様や言葉には、ビジネスパーソンにも多くの学びがありそうです。