特殊詐欺グループに名簿データを販売し、詐欺行為を助けた疑いなどで、名簿販売会社の社長が逮捕されました。
逮捕されたのは、東京都の名簿販売会社「ビジネスプランニング」の社長・山崎勝美容疑者(75)です。
山崎容疑者は去年11月、特殊詐欺に悪用されるおそれがあると知りながら、大阪や兵庫など15府県の約1万4800件の個人情報が含まれる名簿データを18万円ほどで詐欺グループに販売し、詐欺行為を助けるなどした疑いが持たれています。
山崎容疑者の認否は明らかにされていません。
■「健康に気をつかっている高齢者の名簿」から少なくとも8人が約800万円の詐欺被害
会社のホームページには「名簿を利用した営業活動を応援」と記載されていて、1件につき10~20円で名簿を販売するということです。
警察によると、山崎容疑者は詐欺グループから「健康に気をつかっている高齢者の名簿」と注文を受けていたとみられ、名簿に載っていた少なくとも8人が合わせて約800万円を詐欺グループにだまし取られたということです。
去年1月には、個人情報保護委員会が名簿を、名簿を不適正に販売したなどとして「ビジネスプランニング」に行政指導を行っていましたが、山崎容疑者は詐欺グループなどとの取引を続けていたとみられています。
警察は、山崎容疑者がほかのグループにも個人情報を販売していたとみて余罪を調べています。
■安藤優子氏「私の個人情報はどこへ行くんだろう」
ジャーナリストの安藤優子さんは、日常生活でインターネット上に個人情報を入力するとき、抵抗感を覚えるといいます。
【安藤優子さん】「個人情報ってどこそこに開示する機会があるわけじゃないですか。例えばショッピングのために、ネットショッピングのために(個人情報を)書き入れるときも、結構抵抗あるんですよ。
これがどう使われていくのか?それで、『これはどう使われていってもいいですよ』って規約に同意しなくちゃいけないじゃないですか。あれも正直言うと、すべて読んでるわけじゃなくて、『う~ん』って思いながら、『私の個人情報はどこへ行くんだろう』っていう疑念をちょっと持ちながら、でもそれを書いちゃう」
■「同意なしで第三者への提供は禁止」名簿業者への規制はある
個人情報保護委員会などによると、「名簿業者への規制」が設けられています。
個人情報保護法で、原則、「本人の同意なしで第三者への提供」は禁止されていて、「特殊詐欺グループなどへの提供」も禁止。
犯罪が横行しないように「買い手の氏名などを記録する」などのルールがあるということです。
■橋下徹氏「名簿業者、もういらない」
弁護士の橋下徹さんは「名簿業者はもういらない」と主張しました。
【橋下徹さん】「名簿業者を認めるか認めないかは、個人情報保護法を制定するときに、最大の議論のテーマになったんですよ。僕は『名簿業者、もういらないだろう』という持論です。
ただ、いま残っているんですが、個人情報保護法の改正で、名簿業者もだんだん広がらない、収束して行くような状況になっている。
個人情報を扱うのであれば、名簿業者に頼らず、データを使いたい事業者が自分でちゃんと法に則ってデータを集めてくる。それを第三者から購入するのは良くないと思いますね。ただ、難しいのは個人情報を守ることが重要なんですが、活用することもやらないと、世界のテック企業と渡り合えない。すべて守るというよりも、バランスを取って使えるように。ただ、名簿業者はもういらないと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2025年8月13日放送)