モバイルバッテリーなどに使われる「リチウムイオン電池」が発火する火災が相次いでいる。熱や衝撃に弱く、気温が高くなるこの時期は特に注意が必要。製品評価技術基盤機構「NITE」は車の中など高い温度になる場所に放置しないよう呼びかけている。
車から煙…モバイルバッテリーが出火か
車から上がる煙。2024年5月、長野市のコインパーキングで起きた車両火災。消防の消火活動ですぐに火は消し止められた。
車に置いてあったリチウムイオン電池内蔵のモバイルバッテリーから出火したとみられている。

モバイルバッテリーなどに使われる「リチウムイオン電池」はスマートフォンなどの充電に繰り返し使えて便利な反面、熱や衝撃に弱い特徴がある。
列車内でも発生し乗客5人けが
7月、東京JR山手線の車内でも「リチウムイオン電池」が原因とみられる火災が発生。乗客5人がけがをした。
電池を持っていた女性は「スマホを充電していたら熱くなり、バッテリーを外したが30秒くらいして火が出た」などと話している。

製品事故を分析する「製品評価技術基盤機構(NITE)」の安元隆博さんは発火の原因について、「リチウムイオン電池の内部が高温状態になると、中に入っている可燃性の電解液がガス化して、そのガスから発火するという事故のリスクが増加するということが要因の1つに」と述べた。
徐々に膨らみ発火…夏は特に注意
特に暑くなる「夏場」は注意が必要だ。こちらはNITEが公開している実験映像。
炎天下で車のダッシュボードに放置したモバイルバッテリー。徐々に膨らみ火が上がった。

NITEによると、2020年から24年までの5年間に起きたリチウムイオン電池の火災事故1587件のうち35%にあたる548件は6月から8月だった。

「リチウムイオン電池」は夏場によく使われる携帯型扇風機やファン付き作業着にも使われている。

NITEは「高温の車内で放置しない」「強い衝撃を与えない」また「発熱や膨張するなどの異常を感じたら使うのをやめる」よう呼びかけている。
飛行機では手元で保管を
航空機内での発火は世界的にも問題となっていて、日本でも7月から機内にモバイルバッテリーを持ち込む場合は、荷物棚に入れず、手元で保管するよう各航空会社が呼びかけている。
乗客は「危険なので、持っている方が安心だと思う」、「新調して、古いのではないのにしました、飛行機にも乗るし。安全が保たれるのはすごくいいことなので、みんなで協力できたら」と話した。

安元さんは「リチウムイオン電池は小型でハイパワー。ハイパワーというところで、火事が起きたときにエネルギーが高いので、“エネルギーの塊を持ち歩いている”と、皆さんに自覚して丁寧に扱ってほしい」と呼びかけた。
(長野放送)