8月3日、大倉山ジャンプ競技場(北海道札幌市)で行われたノルディックスキーの大成建設チャレンジカップ大倉山サマージャンプ大会。男子は北京冬季五輪男子ノーマルヒル金メダリストの小林陵侑選手(28=チームROY)が今季夏の公式戦初出場で優勝を飾りました。女子は2月の世界選手権、複合女子の個人ノーマルヒル銅メダリストの葛西春香選手(21=早稲田大学)が制しました。
小林陵侑選手は1回目、「風も良くて、気持ちいいジャンプができた」とヒルサイズ(=137m)に迫る134.5mのビッグジャンプでトップに立ちます。注目の2回目も「内容はそんなに悪くはない。テレマークもぎりぎり入れられたので」と131.0mをマーク。安定したジャンプを2本揃え、ミラノ・コルティナ五輪シーズン初戦で幸先のいいスタートを切りました。
前日の大会後、「明日は陵侑が来るらしいから。知らんけど。そんなヤツには勝ってやらないとダメですね。」と語っていた53歳・レジェンド葛西紀明選手(土屋ホーム)。「悪くもなく、良くもなく」と1回目129.0mとK点(=123m)を超えるジャンプで5位につけるも2回目、120.0mと飛距離を伸ばせず7位に終わり、小林陵侑選手との今季初対決に敗れました。
「今日は陵侑を負かすために(新しいスーツを)出してきたんですけど、ダメでした。負けました(笑)」“愛弟子”との真剣勝負第1ラウンドは完敗に終わりましたが、課題は明確です。「(コーチから言われていることは)テイクオフで最初にひざが前に動いて、上半身が上に上がっちゃう。そこさえなくなればもっと飛べる。(そこが直れば)ちゃんと力が伝わって、陵侑と戦えるジャンプになる」小林陵侑選手との第2ラウンドで葛西選手が“どんなジャンプを見せてくれるか”今から楽しみです。
一方、女子は葛西春香選手に続き2位に入った一戸くる実選手(21=雪印メグミルク)。真夏の札幌3連戦はすべて2位に終わり「勝ちきれないというか、目指していたところには届かない悔しい結果になりました」とこの3大会を振り返りました。それでも安定して表彰台にのぼれていることについては「安定してきたことはいいので、そこからもう一個ステップアップすることが必要。空中の後半で(飛距離を)伸ばすのがあまり上手くないので、ちょっとした風を自分でとらえて進ませていくことが優勝するためには必要かな」と課題を受け止めながら、前を向きました。
◆大成建設チャレンジカップ大倉山サマージャンプ大会結果
【男子】
優勝 小林陵侑(チームROY) 288.0(134.5m 131.0m)
2位 小林朔太郎(雪印メグミルク)275.5(130.0m 137.0m)
3位 二階堂蓮(日本ビールスキー部)260.1(137.0m 140.5m)
7位 葛西紀明(土屋ホーム)228.2(129.0m 120.0m)
【女子】
優勝 葛西春香(早稲田大学)184.3(128.5m 114.5m)
2位 一戸くる実(雪印メグミルク)168.4 (112.5m 111.5m)
3位 宮嶋林湖(松本大学)166.2(129.5m 108.5m)
8位 伊藤有希(土屋ホーム)121.7(99.0m 100.0m)
◆試合後 小林陵侑選手コメント
「夏の初戦を怪我なく終われたので良かった。冬に向けて“夏の一歩”を踏み出せたかな。(ミラノ・コルティナ五輪への意識は)“あるな~ぐらい”としか思えていない。(今季の目標は)笑って終われるように(W杯)総合優勝。(五輪)金メダルを目指して頑張りたい」
◆試合後 葛西春香選手コメント
「地元の大会(北海道札幌市出身)で優勝できてすごくうれしく思っています。国内の大会でも(純ジャンプの)トップの選手が出場している中で良いジャンプをすることができた。今日も優勝することができたので、次の(海外の)サマーグランプリにつながる“良い自信”にすることができた」