牛舎建設めぐる住民訴訟 福岡高裁が阿蘇市の控訴棄却【熊本】

農業組合法人の牛舎建設をめぐる訴訟で、阿蘇市が敗訴して支払った損害賠償金を当時の佐藤 義興 市長に支払わせるよう、住民団体が阿蘇市に求めた裁判の控訴審判決です。福岡高裁は25日、一審の熊本地裁判決を支持し、阿蘇市側の控訴を棄却しました。

この裁判は、農業組合法人の牛舎建設において、国からの補助金交付を取り消した阿蘇市がその後の訴訟で敗訴し、損害賠償金の支払いを命じられたことをめぐり、阿蘇市の住民団体が当時の佐藤 義興 市長に賠償金を支払わせるよう市に求めたものです。

一審の熊本地裁は去年9月、阿蘇市がこれまでに支払った賠償金などのうち、8300万円あまりを佐藤前市長に請求するよう市に命じましたが、市はこれを不服として福岡高等裁判所に控訴していました。

25日の判決で福岡高裁の新谷 晋司 裁判長は、「当時の佐藤市長が補助金交付の取り消しは違法だと予見することは十分可能だったと認められる」と指摘。「市長の行為には手続き上の瑕疵があり、市が市長に損害賠償請求権を行使しないのは違法」などとした一審の地裁判決を支持し、控訴を棄却しました。

判決を受け、住民団体は「阿蘇市がやってきたことの不当性、不法性がはっきり示され、ホッとしている」とコメント。

一方、阿蘇市の松嶋 和子 市長は、「判決の詳細が確認できておらず、今後の対応についてのコメントは差し控える」とした上で、「市政の透明性と説明責任を一層高め、より開かれた行政の実現に力を尽くす」としています。

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