エルサルバドルで、世界最大の刑務所「セコ」が2023年1月に稼働を開始しました。この巨大な施設には、4万人もの凶悪犯罪者が収容される予定で、外壁は高さ9メートル、3メートルの電気柵が設置された要塞のような構造です。政府は、ギャング組織の暴力から国民を守るため、徹底した治安対策の一環としてこの刑務所を建設しました。
エルサルバドルは、長年にわたりギャングの支配に苦しんでおり、2015年には人口10万人あたりの殺人発生率が10.3件に達しました。これを受け、ブケレ大統領はギャングとの戦争を宣言し、逮捕対象を拡大。2022年3月には大規模な一斉逮捕作戦が展開され、約1万7000人が拘束されました。その結果、セコの建設が急ピッチで進められました。
この刑務所には、MS13やバリオ18など、世界的に危険なギャングメンバーのみが収容され、社会復帰の可能性はゼロとされています。収容者は、厳重な監視下で過酷な環境に置かれ、家族との接触も禁止されています。食事は最低限のもので、衛生状態も劣悪です。独房に送られた受刑者は、精神的な圧迫を受け続けることになります。
国際社会からは人権侵害の懸念が高まっていますが、エルサルバドル国内では91%の国民がこの政策を支持。治安改善の成果が見られる一方で、財政の危機や新たな犯罪組織の台頭が懸念されています。果たして、この厳格な収容政策が本当に正しい選択なのか、今後の動向が注目されます。