岩下志麻、夫・篠田正浩と「映画という魔物をともに追いかけた日々」をふりかえる

「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」より

今回の訃報を受けて、6月19日発売の映画雑誌『キネマ旬報』7月号では、篠田正浩監督の追悼特集を掲載。そのなかで、岩下志麻が篠田の没後初めてとなる、ロング・インタビューに応え、在りし日の篠田を偲んでいる(取材は映画研究者の志村三代子)。

「心中天網島」より。篠田正浩監督(左)と岩下志麻

松竹の若手監督&スター時代のふたり

もう一つの代表作「はなれ瞽女おりん」の撮影現場。右端は原田芳雄

篠田と岩下の「普通の夫婦ではない」関係性は、日頃の呼び方にも表れている。「彼、私のことを『岩下志麻』って言うんですよ(笑)。『岩下さん』とかね。最後までそうでしたね」。
また、仕事で多忙を極める岩下に対し、篠田はいっさいの家事を要求せず、「疲れた体で現場に行くのは他の監督さんにも失礼だから、家庭はあくまでも休息の場にしてほしい」と言ったそう。妻であると同時に女優である岩下への深いリスペクトを感じさせるエピソードだ。

『キネマ旬報』1971年5月下旬号「君は映像の可能性を信じているのか?」より

インタビューではそのほかにも、「はなれ瞽女おりん」「鑓の権三」など代表作の現場でのエピソード、監督引退を宣言して撮られた「スパイ・ゾルゲ」のときの思い出などを語っている。

また、今回の追悼特集では、岩下のインタビューのほかに、1970年代に『キネマ旬報』誌で行われた篠田正浩と寺山修司の歴史的な対談を再録(「君は映像の可能性を信じているのか?」)。篠田の追悼のみならず、時代の証言としても、非常に貴重な記録だ。

篠田正浩監督の追悼特集は、『キネマ旬報』電子版および6月19日発売の『キネマ旬報』7月号で読むことができる。

制作=キネマ旬報社

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