「オープン戦、マリナーズ4-6ジャイアンツ」(27日、ピオリア)
天国から地獄。マリナーズとマイナー契約を結び、春季キャンプに招待選手として参加している藤浪晋太郎投手(30)が五回から登板したが、先頭打者への死球からリズムを崩すと、2/3回を1安打、3四死球の4失点。20球を投げたところでイニング途中での降板となった。
オープン戦初登板となった23日のダイヤモンドバックス戦では1回無安打、1四球の無失点と上々のスタートを切っていたが、制球が乱れて失点につながるという悪癖はいまだ解消されていなかったようで、阪神OBの中田良弘氏は死球の考え方、捉え方を変えてみることが殻を破ることにつながるのではと提言した。
中田氏は「調子が悪い時、藤浪はかたくなに精神面を理由にせず、テクニカルな部分が原因だと説明するけど、もう何年も同じような状況が続いている。確かに技術的な部分がしっかりしていれば投球は安定してくると思う。ただ、藤浪の場合、1球の抜け球、1つの死球から悪い方へ激変してしまうところがあるから、ここは思い切って死球への考え方を変えてみたらどうかなと思う」とした。
具体案として「俺も現役時代にそう考えたことがあるんだけど、死球を当てた時は自分のコントロールミスではあるんだけど、それを『当ててしまった』『やっちゃった』と引きずるのではなく、『今の球ぐらいよけてくれないと、俺の方が痛いよ』と思いながら投げていた。(西武の)東尾(修)さんなんかがいい例だよね。当てたのに、当たった方に文句言ったりね」と、NPB歴代最多の165死球という数字が残る右腕の心持ちを“見習え”と助言した。
中田氏は阪神時代から藤浪の投球を見続けてきた。「誰もがうらやむようなボールを持ってるんだからね。それを生かし切れていないのは、見ていてとてももどかしい。踏み出した左足がクロスするから、特に右バッターなんか怖いはずなんだよ。そこをストロングポイントとして効果的に使わないと。完璧を追い求めるあまり、自分で自分を苦しめているような気がする。テクニカルな部分にも気を配りつつ、ある種の発想の転換をすることで、藤浪の投球は変わる可能性があると思う」とした。
メジャー昇格、開幕ロースター入りが確約された立場ではないだけに、次回登板が持つ意味は大きい。