WBAバンタム級2位・那須川天心(26)=帝拳=が25日、前WBOバンタム級王者のジェーソン・モロニー(34)=豪州=を判定3―0で退けた24日の大一番から一夜明けた会見に出席。同席した帝拳ジム浜田剛史代表が「昨日の試合ほどわかりやすい採点基準はない」と説明する珍しいシーンがあった。
試合では那須川が初回と6回に痛烈に右ストレートを効かされるシーンがあった。特に6回は体が崩れてダウン寸前になったが、なんとか持ちこたえる印象的な場面となった。最終回も両者が激しく打ち合い、モロニーがわずかに上回ったかに見えた。
ただ、他のラウンドはスピードと手数に勝る那須川が動きながら有効打を入れる時間が多く、アッパーやボディーなど痛烈なパンチもヒットした。
現代ボクシングは極力10―10をつけず、各ラウンドで採点に差をつけるのが基本方針。一方で、ダウンがなければ大差で取ったラウンドも、小差だったラウンドもともに10―9と1ポイント差になるため、1、2ラウンドで見せ場を作っても試合結果に結び付かないケースがある。
モロニー陣営は24日の試合後、現在の仕組みを承知のうえで「ボクシングは各ラウンドの優劣で(ダウンがなくとも)10―9だけではなく、10―8、10―7をつけるようになるべきだ」と、システム全体について問題を提起。モロニー自身が「ジャッジひとりが98―92と6ポイントも差をつけたのは理解できない」と口にしたことも手伝い、一部で不当判定扱いとして騒がれた。
元WBCスーパーライト級王者で、解説者としても長く活躍する浜田代表は「インターネットなどで昨日の98点はおかしいというのがいくつか出てるみたいです。我々は最終回を取られて97点だったなと判断していた。1996年ぐらいにシステムが変わった時に採点の混乱があったのでスポーツ紙で説明したことがあったんですが、またどこかで採点基準の説明をしようかと思います」とコメント。今後は啓発活動にも力を入れたいと話した。