日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の事務折衝が20日、沖縄県那覇市内で行われ、選手会がNPBに異例の要望を出した。ポスティングシステムで米大リーグに移籍した選手が復帰するケースで、プロ野球関係者が選手の選択を批判する言動を控えるよう依頼。選手会の森忠仁事務局長は「影響力のある人の発言で誹謗(ひぼう)中傷につながる」と警鐘を鳴らした。
ルールに則した行為に対する批判を、選手会が看過することはできなかった。NPBとの事務折衝を終えた森事務局長は「上沢問題」について強い口調で要望を明かした。「影響力のある人が発言することで、拡散されて誹謗(ひぼう)中傷につながる」。問題を提起した上で自粛を求めた。
23年オフに上沢が、日本ハムからポスティングシステムで米大リーグに移籍したが、1年で挑戦を断念しソフトバンクと4年契約を結んだ。これに対して新庄監督が1月8日に「育て方が違った。悲しい」と発言。同20日は12球団監督会議でも「違うものは違う」など、道義上の問題を指摘した。
球界関係者の間で賛否の声が上がり、SNS上でも批判の声が噴出。選手会に再入会した上沢とも連絡を取り合い、ケアや今後の対応について協議してきた。森事務局長は「制度上、違反をして戻ってきてはいない」とした上で「(広島・会沢)会長もかなり心配している。あの発言が出た時になぜ、問題ない行動だと選手をかばってくれなかったのか」と訴えた。
日本ハムとソフトバンクは開幕2カード目、エスコンフィールド北海道での2連戦が予定される。登板は未定だが、同一リーグだけに「この話が出ると、また火種がついて…というところがある」と危惧した。現行制度に変わる新たなルール整備も必要だが、SNSなどの誹謗中傷は球界全体で取り組みを行っている。今後の動向次第では、球界に対して発言自粛の声明を出す可能性もあるという。