なぜ?18歳特定少年の実名を公表 広島府中町強盗殺人事件 「10代の凶悪犯罪」処罰の行方

今年4月、府中町の公園で起きた強盗殺人事件で、広島地検は、先週、16歳の少年と18歳の男を起訴しました。

3年前の少年法改正で大きく変わった「10代による凶悪犯罪」に対する処罰について、竹内記者とお伝えします。

【竹内記者】
この事件は、共犯の女が被害者の男性を夜の公園に誘い入れ、援助交際していることに因縁をつけ、暴行して殺害し金品を奪ったという凄惨なもので、逮捕されたのは10代の3人。そのうちの2人が起訴されました。

府中町に住む建設作業員の16歳の少年は、犯行を計画し、殺意をもって木の棒で数回殴ったとして「強盗殺人」の罪に問われています。

そして、少年の職場の同僚で海田町に住む徳永孝志被告18歳。少年から報酬を持ちかけられ犯行に加わったとされ、暴行を加えたものの殺意はなかったとして「強盗致死」の罪で起訴されました。

男性を公園に誘い入れたとされる愛媛県松山市の18歳の女は恐喝の疑いで家裁送致され、保護処分として2年間の少年院収容が決まっています。

2022年に改正された少年法で、18歳と19歳は「特定少年」として扱われ、起訴後の実名報道が可能となりました。

「特定少年」にあたる徳永被告の実名を公表した理由について広島地検は、「重大事案であり地域社会に与える影響も深刻なため」としています。

【加藤キャスター】
テレビ新広島は結果は重大で社会的影響も大きいことなどから、実名報道することが妥当であると総合的に判断しました。

3年前の少年法改正によって特定少年の実名公表が可能になりましたが、なぜそのような改正が行われたのでしょうか?

法改正の経緯や意義について、少年事件に詳しい広島大学大学院の吉中教授に聞きました

【広島大学法学部長・吉中信人教授】
「18歳19歳は「刑法上は少年」だけれども「民法上は成年」でもある。選挙権もあるということになれば、一定のバランスをとる。間をとるということで18歳19歳は少し大人に近づけた刑事手続き、刑法上の取り扱いをしようと」

特定少年を実名で報じることの意義については次のように話しています。

【広島大学法学部長・吉中信人教授】
「私はこういう時代だからこそ逆に(被告は)別の人ではない「Aという人であってBという人ではない」ということをきちんとメディアが主体的に責任をもって報道するということは、わたしはそれなりに意義があると思います」

実名報道は、ネット上などで憶測で犯人を特定するといった動きを防ぐ

2人は今後、大人と同様、刑事裁判を受ける事になります。
刑法上、「強盗殺人」と「強盗致死」は「死刑または無期懲役」と非常に重たい刑が課されることになっています。

吉中教授は、「2人の家庭環境や交友関係がどのように量刑に反映されるかが注目点」と話します。

Q:減刑の可能性がある?

少年法の改正で厳罰化が進む中でも、「少年法の意義」として、被告の生い立ちや更生の可能性が大人よりも考慮されて減刑される可能性もあります。
「10代による凶悪犯罪」に、裁判でどのような判決が下されるのか、注目されます。

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