日本の株式市場が歴史的な高値を更新する中、一般庶民はその恩恵をまったく感じていないという衝撃的な現実が浮かび上がっています。第1生命経済研究所の主席エコノミスト、藤代光一氏はこの状況を「株高不況」と表現。企業の業績が改善し、株価が上昇する一方で、消費者の実質賃金は6期連続でマイナスを記録しており、生活は厳しさを増しています。
インフレが進行する中、企業は価格を上げて利益を確保していますが、株式を保有していない庶民はその影響を直撃。藤代氏は、株式資産が富裕層に集中していることを指摘し、格差が広がる危険性を警告しています。アメリカでは上位10%が株式資産の約50%を保有し、日本でも同様の傾向が見られるといいます。
さらに、日本はインフレに対する資産防衛が弱い構造にあり、国民の約50%が現金を保有しているのに対し、アメリカはわずか13%です。これにより、経済全体が悪影響を受ける懸念も浮上。藤代氏は、投資の重要性を強調し、「余剰資金での投資」が資産防衛につながると述べています。
若者の間では投資への関心が高まっているものの、過去のバブル崩壊を経験した世代は慎重な姿勢を崩せない状況です。今後、株高の実体経済との乖離がさらに広がる中、庶民がこの厳しい現実をどう乗り越えていくのか、注目が集まります。