「何もない。きれいにない」 収穫直前のナシ 約6000個が盗まれる やりきれない生産者の思い 泥棒の犯人像は―【福岡発】

Thumbnail

“フルーツ王国”として広く知られる福岡・うきは市で、生産者の思いを踏みにじるような事件が起きた。



「何もない。きれいにない」

「何もない、きれいにない」と周囲を指差すのは、うきは市でナシ農園を営む佐々木浩貴さん。佐々木さんが指差す先には、ただ青く茂った枝葉が風に揺れるだけだ。本来、枝の先に実っているはずのナシの実が殆ど見られない。

この記事の画像(9枚)

収穫直前だったナシ、約6000個が盗まれたのだ。「本当は、きのうから出荷の予定やった。土日にね。『道の駅』とかに出そうと思っとったから―」と佐々木さんは落胆の声をこぼす。

事件が起きたのはうきは市のナシ農園。7月7日から18日までの間、栽培していたナシ約6700個のうち、収穫時期が迫っていた約6000個、180万円相当が何者かに盗まれた。

この農園のナシの年間の売り上げは、約250万円。今回の被害額、約180万円は、年間売上の7割以上が被害にあった計算になる。盗まれた品種「幸水」は大きくなるように6月に1個1個手間をかけてホルモン剤をつける作業をしていたものだ。

佐々木さんは「大事に育ててから、いつも『どうやろか』と思いながら、やっと収穫と思って。誘拐された気分やね」と肩を落とす。



いったい誰が?犯人像を推理

一体、誰の仕業なのか?農園を営む佐々木さんによると犯人像は「収穫の仕方も分かってる、種類も選別できる人、っていう可能性しかないよね」というのだ。

素人だと実を取る際に枝ごと取れてしまうが、今回、盗まれた箇所を見ると、枝はしっかりと残っている。

佐々木さんは「これ、引っ張っても取れんのよね。これをコッと上にあげればすぐ取れる。これがちゃんとした人の取り方なんよね」とナシのもぎり方を実演してみせた。

ナシを予約していたお客さんもいたが「今年はありません」と全部、お断りの電話を入れたという佐々木さん。「盗んだ意識があるんならば許すんで、うちに作業に手伝いに来て下さい。全部あげますから。出頭してきて下さい。それを願います」と話している。

6000個ものナシが盗まれたことから警察は、複数人による犯行の疑いも視野に捜査している。

(テレビ西日本)

Related Posts