フジテレビの危機が国際的な注目を集めている。ニューヨーク・タイムズが、同社の内部問題と中井正弘氏の不祥事を取り上げ、「フジのグダグダぶり」との見出しで報じた。この報道は、日本国内の芸能スキャンダルを超え、企業統治やメディアの社会的責任に対する関心を呼び起こしている。
事件は、元アイドルから人気司会者に転身した中井氏による口止め料支払い疑惑から始まった。その後、性的暴行事件の詳細が明らかになり、フジテレビの対応の問題点が浮き彫りとなった。特に、企業文化とコンプライアンスの転換点として位置付けられ、多くの企業がフジテレビへの広告出稿を取りやめるという前例のない事態が展開された。トヨタやソフトバンク、マクドナルドといった約75社の大手企業がCMの出稿を停止し、キリンホールディングスは調査が完了するまで広告を自粛すると表明した。
フジテレビの危機管理能力の欠如は、1月17日の記者会見で顕著に表れた。閉鎖的な運営方針が批判を受け、1月27日の再会見では経営陣の辞任が発表されたが、組織の意思決定プロセスに問題があったことが浮き彫りとなった。特に、中井氏の番組放送を約1年半も継続した判断について、現場からの情報共有がなかったとの証言が出され、組織のコミュニケーションの欠陥が指摘された。
専門家は、今回の事態が企業の社会的責任に対する意識の変化を示していると分析している。過去の教訓を踏まえ、多くの企業が迅速に対応を選択したことは、今後のメディア業界における危機管理の重要性を示唆している。この問題が引き起こす議論は今後も続くと予想され、企業文化の改革が求められる時期に来ている。